2021年08月23日

【読書】福井雄三「世界最強だった日本陸軍 スターリンを震え上がらせた軍隊」(PHP文庫)

姉妹ブログから(リンク等一部修正しつつ)コピペ。




モンハン…だけではないですが、そこからスタートという意味では、https://amzn.to/3k9svKM とか https://amzn.to/3gpVWaf とかの流れでもあるかしら?
グラスノスチ以降の新史料(信憑性の評価は必要かもですが)に基づくノモンハン戦の実態は、あまりに戦後の「通説」という名のデマとかけ離れ、共産主義者どもの恥知らずな嘘吐きぶりにあらためてあきれ果てるしかありません。
しかもそれだけでなく、その「大戦果」の結果、怯え切ったスターリン≒コミンテルンが、陰険な謀略を駆使する展開から、せっかくの軍事的勝利が政治的敗北にすりかわっていくプロセスを考察し、陸軍悪玉・海軍善玉論など戦後の捏造をひっくり返していく感じ……なのかしら?
まだ全部読んでいないので確たることは言えませんが、今のところの印象はそんな感じかと。


世界最強だった日本陸軍 スターリンを震え上がらせた軍隊 (PHP文庫) 文庫 – 2015/6/3

太平洋戦争における日本の“最大の悲劇"は、日本が戦争に敗れたこと自体というよりも、アメリカから一方的にやられっぱなしの、あのようなぶざまな負け方をした戦闘内容のレベルの低さにあった。これが、現在の日本人の潜在意識の底――対米意識や戦後の歴史観にも大きな影を落としている。
しかし、兵力差10倍のソ連軍を圧倒したノモンハン事件、世界を驚かせたシンガポール陥落までの電撃戦など、スターリンをも震え上がらせ、当時の国際情勢を大きく動かした日本陸軍は、一時世界最強であった。では、なぜ日米戦争では“悲惨な敗退戦"を繰り返したのか。
本書は、「北進論と南進論」「次から次へと嘘をつく」「ガダルカナルの悲劇の真犯人」「なぶり殺しにされた日本陸軍」「死中に活を求めたはずが……」など、陸軍が海軍の無謀な戦略と作戦指導に引きずられて、敗戦に至った真因へと迫る!
「陸軍悪玉・海軍善玉論」を根底からくつがえす渾身の力作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
福井/雄三
東京国際大学教授。昭和28年(1953)7月、鳥取県倉吉市生まれ。東京大学法学部卒。企業勤務ののち、大阪青山短期大学教授を経て、平成24年(2012)4月から現職。専攻は国際政治学、日本近現代史。「行動する社会科学者」を信条に、ソ連崩壊の年に地球一周の旅を敢行し、旧ソ連・東欧情勢を現地で取材。その後、中国大陸の全域および台湾を踏破(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
出版社 ‏ : ‎ PHP研究所 (2015/6/3)
発売日 ‏ : ‎ 2015/6/3
言語 ‏ : ‎ 日本語
文庫 ‏ : ‎ 263ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4569763545
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4569763545


だってのくりかえしになりますが、そもそも北進すべきところを南進したのが戦前日本の錯誤というべきであり、その錯誤をもたらしたのが政府中枢にまで食い入っていたゾルゲや尾崎といったソ連のスパイですが。
スターリンがなぜそうまでして日本を南へ向かわせたかったのかといえば、要は日本がコワかったからでしょう。
スターリンを恐怖させたのが(ソ連側から仕掛けてきた)ノモンハン。
長らく日本のボロ負けと吹聴されてきた戦場の、旧来の通説とは真逆の真相が、ソ連崩壊後、ようやくわかってきたとかナントカですが……そのデータを見ると戦後の「自称歴史」の嘘・捏造のすさまじさにあきれるばかり。
 まず第一次から見てみよう。この戦闘は文句なしに日本側の圧勝だった。五月四日に始まり三十一日に終結したこの戦闘で、ソ連機は一七九機撃墜されたが、日本機の損害はわずか一機(そのパイロットは無事脱出して生還している)だった。しかもその空中戦に参加した飛行機の機数を見ると、たとえば日本機九機に対してソ連機八〇機とか、日本機一八機に対してソ連機六〇機といったように、圧倒的に少数の日本機が敵の大編隊と戦って、これを打ち負かしている。赤子の手をひねるとはまさにこのことをいうのであろう。
 地上戦でもソ連軍は日本軍の激烈な抵抗を受け、侵入地を確保できずにハルハ河の左岸に撤退した。日本軍の死傷者二九〇名に対してソ連軍の死傷者は六〇〇名以上であった。関東軍はこれで事件は収束したと判断し、戦勝報告を行なった。
 ノモンハン事件全体でこうむった双方の戦死傷者数は、日本軍の一万七四〇五名に対し、ソ連軍は二万五五六五名である。そのうち八月二十日までの戦死傷累計数字を見ると、日本軍の七〇〇〇名に対しソ連軍は一万五〇〇〇前後である。わずか一個師団二万の少数の日本軍が、二三万の敵の大軍を相手に、これだけの戦果を挙げているのである。これを日本軍の大勝利といわずして何といおう。
 小田氏の指摘によれば、ソ連軍の戦車は走行射撃もできない低レベルであり、戦車戦になると日本軍の戦車に太刀打ちできなかったケースが多く、ソ連の戦車は日本軍のきわめて高性能の速射砲・高射砲の標的となり、八〇〇台が破壊された。それに対して日本軍の戦車の損害は二九台である。空中戦でもソ連の戦闘機は低性能のお粗末なものであり(なかには布張り機もあった)、日本の戦闘機に比べればまったくお話にならなかった。ソ連軍の撃墜された飛行機一六七三に対し、日本軍の撃墜された飛行機はその一〇分の一の一七九機だった。
 日本軍は戦場で捕獲した敵の戦車や兵器を見て、その質の悪さに一様に驚いている。戦後日本の論壇に流布した「高度に近代化されたソ連の機械化部隊」などという論調は、真っ赤な嘘だった。


に強いばかりではない。戦後のプロパガンダで海軍善玉・陸軍悪玉みたいにでっちあげられましたが、これも激しく疑わしい。
真珠湾もミッドウェーもレイテも何もかも大方海軍の大ボケですし、陸軍の玉砕も補給が絶えたためであって、つまるところシーレーン防衛をおろそかにした海軍が悪い(※大井篤のこちら参照)
支那事変も陸軍は不拡大方針ですし、事変を戦争に拡大し、日本を泥沼に引きずり込もうとしたのが、ソ連・中共、そしてそのスパイに浸透された近衛内閣だったことは、今さら言うまでもないですし(※黒田紘一のこちら参照)、
右派がよく言う、大東亜戦争における植民地解放の側面も主力となったのは陸軍でしょう。
陸軍さんマジカッケー、というやつですが……
にもかかわらず「どーしてこうなった?」といえば、要は「戦闘」で勝って「政治」や謀略・インテリジェンスで負けたというか、コミンテルが云々。海軍の大ボケはもちろん、政府の無能、そして陸軍自体ですらが、エリートであればあるほど、赤色思想に染まっていた面があった、そのせいでもあるのかもしれません。
であれば、(このジャンルの決まり文句ですが)、それは決して過去の話ではなく、現在進行形の「サイレント・インベージョン」と地続きなわけで……本書の著者自身が序文で言うように、
「勝者敗因を秘し、敗者勝因を蔵す」という諺がある。敗戦の原因と責任をきちんと分析し整理しておくことは、それを今度は逆に成功に転じさせ、輝かしい未来につなげていくためにも、ぜひとも必要なことである。それゆえ大東亜戦争敗戦の原因と責任を追及(追究)することは、日本を今後さらなる発展へ導くための宝の山である。
というところかもしれません?
(※追及さるべきはあくまで「敗戦」の原因と責任であって、ありもしない「侵略」のそれではありません。為念)


行本(https://amzn.to/3go2h61)&Kindle版(https://amzn.to/3D96PqD)もありますが、レビューは共有というかごちゃ混ぜ表示のようです?
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.0
28 件のグローバル評価
星5つ…49%
星4つ…28%
星3つ…8%
星2つ…8%
星1つ…7%
大好評。圧倒的。


評価もわずかにありますが、とりあえず☆1☆2には「Amazonで購入」ラベルの表示が1件もなく、それだけで読んでいないと断定はできませんが、しかし実際「読んでいない」と言われても仕方無いくらい、的外れな思い込みに終始しているように、当方などには見えます。
特に☆1の、
「でも、結局負けたけど・・・・・。」とのレビュー:Amazon
などは、上で引用した序文に見る通り、まさに「敗戦」の原因(ただし通説の嘘ではない真の原因)をこそ追究しようとする本書をつかまえて、ナンセンスにもほどがあります。
そうした的外れっぷりは、本書の内容を、単なる「自慢話」としか解釈できない☆2の、
「軍隊が最強だ、などと過去の誤った考えを、自慢話のように本にすべきではない」とのレビュー:Amazon
なども同断でしょう。
「用兵の無計画、無謀な作戦の立案と実行」をもたらした真因は何か?
東條英機がミッドウェーの大敗を後々まで知らなかった(知らされなかった)などは、有名な話でしょう。
もう1件の、
「肝心の表題からずれている」とのレビュー:Amazon
も、それこそ「肝心」の主題からずれている(故意か?)のはレビュアーのほうではないでしょうか。
日本陸軍の何が世界最強の部分であったかの証明が不十分、著者が挙げているノモンハン、シンガポールでの事例は一部であるものの、他は共産スターリン、海軍などの批判に注力し、例えばノモンハンでスターリンが震え上がったや山本のばくち的戦略につき合わされて日本陸軍が補給もなく負けたなど、他を批判して日本軍を持ち上げるだけでは、世界最強に証にはならない。
とかナントカエラソーですが。本書が単なるツマラン「自慢話」などでないことは直上で書いた通り。最強だった、にもかかわらず「敗戦」したのはなぜか? まさしく「共産スターリン、海軍など」がその真因であって、その「批判」にこそ「注力」するのはむしろ当然では?というところ。
その肝心のコンテクストがわかっていないのであれば、どんな批判(?)も的外れにしかならないでしょう。ましてその批判(?)の根拠が「表題」というのであってはなおさらです。いったい、本にとって、題名と内容のどちらが「肝心」だというのでしょう? 言うまでもないことではありませんか?(題名などは、究極「改題」すればすむ話)。
にもかかわらず「肝心の表題」などと、いかにも一大事のように言いはるのは、ためにする誇張か何かでしょうか?
ちなみに☆3には、それこそ、
「「世界最強だった最前線の日本兵士」というタイトルなら納得出来ました。」とのレビュー:Amazon
などもあり、なかなか苦笑を誘う光景ですw
こちらの☆3は、わりとしっかりした長文で、これなら批判点についても傾聴に値するかもしれません?
(もう1件の☆3はスルーでいいですけどね)


はともあれ圧倒的多数派は高評価。
「目から鱗の一冊」とのレビュー:Amazon
「データがきちんと提示されている信頼性の高い内容と思います」とのレビュー:Amazon
「勇気が出る本」とのレビュー:Amazon
「今一度大東亜戦争を冷静に分析すべきである。」とのレビュー:Amazon
などなど、当然ですが、大好評。
1件だけ、☆5のふりをして、本書の肝心の内容を全否定する**レビューもあり、要注意。
「そこを考えずに、「日本の兵隊は強かった」というのは、間違っていると思うね」とのレビュー:Amazon
☆5のふりをしているだけで、誤解ないし曲解自体は、☆1☆2と同質ですね(Amazonではたまによくある「手法」)
「日本の兵隊 強かった」、しかし、戦争には負けた、それはなぜか、という……まさに「そこを考え」ている本だと、いったい何度言ったら以下略。
本書自体で批判されている半藤一利の往生際の悪さを思いださせる論理破綻には、いいかげんウンザリしますが……


の1件以外は、悪質な誤解や曲解もなく、相応に本書の内容を受け止めた投稿が多そうかと。
まあ、その結果、やはり、
「タイトルがおかしい」とのレビュー:Amazon
はありますけどねw
まあ、単なる強さ自慢よりも、はるかに深く良い内容、ということで……結果オーライかと。
内容は良いものです。旧日本の陸軍と海軍について考えを新たにしました。ノモンハン事件などはよく考察しており、客観性があり読むに値するものです。
また、そもそも、米英支蘇蘭仏その他その他を相手のあれだけの大戦争の「すべて」を一冊に盛り込めるわけもなく、あくまで、様々な角度からの分析のうちの「ひとつ」と見るべきでもあるでしょう。レビューの中には、
本書が届いて前作 日米開戦の悲劇 と似た表紙であることに気付く。前作はアメリカ駐日大使・グルーと対米戦争の経緯について書かれたもので、今回は陸軍のノモンハン戦以降の戦闘とスターリンをはじめとするソ連の動向に焦点を当てた姉妹作だと思われる。
などの指摘もあるようで、傾聴すべきところかもしれません?
日米開戦の悲劇 単行本 – 2012/3/14


意か天然か、ちょっと読解力に問題のあるレビュアーが目について、未読者は惑わされるかもしれませんが……良レビューのほうに目を向ければ、だいたい、本書の性格はつかめるでしょう。ついでに言えば、タイトル云々も、逆説的な意味で手掛かりになるかもしれませんw
単なる安っぽい強さ自慢の低俗な内容ではなく(それを前提に叩いている☆1☆2や☆5は的外れ)、その強い軍隊を持ちながら、なぜ国は負けたのか、通説に覆い隠されてきたその真因を追究しようとする内容。もちろん、すべてがすべて100点満点の正解ではないかもしれません。だからといって、マイナスひゃくまん点の反日捏造史観のほうが本書より正しいというわけがないのは自明でしょう。
しかし悲しいかな、まさにそのマイナスひゃくまん点の反日捏造史観のほうが大手を振って歩いてきたのが戦後ニッポン。
すべてを一言一句鵜呑みにしろとは言いませんが、解毒剤は必要でしょう。
リテラシーを持って読めば十分その役に立つ「目からウロコ」の一冊には違いありませんし、そもそも、本などというもの、誰が書いたものにもせよ、リテラシーを持って読むべきなのは自明の前提でしょう。細かい瑕疵や、ましてや誤解・曲解に惑わされてスルーするのはモッタイナイ一冊かと思います。


くなりましたが……
当然ながら楽天にも出品はあるでしょう。
「世界最強だった日本陸軍」の検索結果:楽天
など、チェックしてみていただければ、と。
ブックス&ブクログ合わせてレビュー3件ありますが、うち2件は高評価。
もう1件が☆1みたいですが、何がどう気に入らないのか一切の論評なく、大量の引用で構成されているようです。
「レビュー」としては無価値ですが、本文引用ですから、本書自体の論調を知る参考にはなるでしょうか?
☆の数は無視すること前提でなら、チェックしてみてもよいかもしれません?

健闘を祈ります。


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posted by 蘇芳 at 13:52|  L 大東亜戦争 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする