2021年07月06日

【読書】発想がショ○カー

  

それにつけてもさっきのこちら、やはりどーにも寺子屋の段の違和感が激しいなというか何というか。
遠い昔の縁もゆかりもない異国のブンカなら”でかるちゃー”ですむかどうか知りませんが、当の日本のわりと近い時代の大衆演芸。まんざら赤の他人どころではなく、日本のココロ的には無視もできない気がしなくもなく。何といっても、アレ、胸糞炎上事案でも何でもなく、大ヒット。寺子屋の段は中でも特に名場面とされてるみたいですからなおさらです。

読んでない人のためにネタバレあらすじ貼っておきますが。
Wikipedia:菅原伝授手習鑑 - 四段目
「すまじきものは宮仕え~」も何も、アンタとっくに道真さん的にはクビになってんぢゃん、というツッコミはさておくとして。
Wikiだとさもあたりまえのようにサラッと流して書いてあり……皆さん、この展開に違和感ないのが普通なのですかね?

しかして当方ごとき雑アタマだと、やはり、どう考えてもナントイウカ。

時代が違うとかそもそもファンタジーとか、いろいろエクスキューズを踏まえてみても、主君のために自分の子供を云々ならまだしも、今日会ったばかりの赤の他人の子供をシメシメ、ついでに母親も有無を言わさず口封じ~というのは(wikiには書いてありませんが、所用で隣村へ出かけていた母親が、預けていた小太郎を迎えにきたとき、サアサア奥へと誘い入れ、背後からだまし討ちに斬りかかる、という場面が原作にはシッカリあります読みました)、後からどんな「実は」を持ち出しても、すでに発想自体が悪役・ショッカーのそれにしか思えません💧
(もちろん「実は」その小太郎というのが松王の子で、松王が自分の子を主君のために~という展開ではあるのですが。実際に小太郎を5656する源蔵にとっては他人の子であるのに違いはなく。5656した時点では松王の子であることすら知らないという……)

しかしてそれが大ヒット、前述のように特に有名な「名場面」とされているというのですから謎は深まるばかりです。

だからといって、忠君愛国がダイキライなサヨクが大喜びしてイデオロギーを振り回すのも違和感マシマシ。

どちらかというと、これ、裏切り者の悪党と思われていた松王が「実は」&さっき泣く泣く手にかけた赤の他人の子供の小太郎「しかしてその正体は~」というドンデン返しのお約束・意外性を重視しすぎた作劇上の失敗で、松王夫婦が最初から源蔵夫婦に意中を明かしていれば、もうちょっとナントカなったのでは?……という気もしないでもないですな。
愁嘆場の種類・タイプは変わりますが、それはそれで、盛り上げようもあるでしょうしね。。

あるいは、この「名場面」が大当たりを取ったのは、そのあたりのアレコレ含めて、燗客側の「理解」というか「脳内補正」があったうえでの話かもしれません?
してみると、その「脳内補正」をあらためて事々しく理屈で再構成しなければならない当方ごときは、いわゆる野暮天の類なのかもしれませんが……
そういう「野暮」が当方一人だけか、あるいはわりと増殖していないか、増殖しているとしたら、それはつまり近世日本文化と現代の「断絶」をちょっと危惧したがよいのではないかという気もしないでもありません。


ちなみに、上で忠君愛国がダイキライなサヨクが云々かんぬん言いましたが……
台湾を某国領土と主張する天下の岩波書店さま。
産経ニュース:
広辞苑、台湾を「台湾省」 20年前から記載 「日本の代表的な辞典としては瑕疵と言わざるを得ない」
岩波書店、広辞苑の台湾表記「誤りではない」 台湾側は「遺憾」表明
岩波書店:読者の皆様へ――『広辞苑 第六版』「台湾」に関連する項目の記述について -
本書自体(肝心の作品そのもの)は長らく版元品切れにしておく一方で、
Amazon:「菅原伝授手習鑑」精読――歌舞伎と天皇 (岩波現代文庫) 文庫 – 2012/4/18
とかいう本は、普通にしっかり今でも新品入手可能なのですよねぇ。。
まあ、読んでないので本当のところの中身の「質」は存じ上げませんが、
武家社会における忠義が天皇への忠義となったこと。これが明治維新による近代国家成立で「英霊」を生み出した悪しき面となったとする指摘も鋭い。
とか何とかいうレビューをチラ見しただけでもナントイウカ
つーか武家社会って💧
どちらかというと歌舞音曲は昔っから「河原者」の世界ではないですかね。。
Discover Japan:よくわかる!歌舞伎の基礎知識Q&A
しかし芝居小屋はお上からは「悪所」と呼ばれ、武士階級は足を踏み入れてはならないところ。つまり歌舞伎は身分ある者のものではなく、あくまでも下々のための娯楽だったのだ。
歌舞伎事典:役者・俳優
しかし、社会的には河原者・河原乞食などと呼ばれ、士農工商の四民以下に属させられていた。彼らは一般には〈役者〉と呼ばれた。社会的にいやしめられる身分であったが、大衆の側からは人気スター、市井の英雄として憧れられる存在であり、名優は破格の高給を得て、豪奢な生活をしていた。そのぜいたくな生活ぶりが、しばしば幕府の弾圧を受けている。
庶民・町人相手にウケをとるため、河原者が書いたファンタジー・ナンチャッテお武家さま。それが本物の「武家社会」と何ほどの関係があるのか? 建前的にはさておき、歌舞伎人気は社会的に無視できないレベルだったわけですから、完全無欠の無関係とは言いませんが、それならどれほどの「関係」があるか、根拠を示して証明しなければならないでしょう。
また、明治以降、天覧歌舞伎なども行われて地位向上したそうですが、それをして竹田出雲を云々するのは、時系列を無視した話のような気もしますしね。。

Amazon:
菅原伝授手習鑑 (岩波文庫) 文庫 – 1938/12/1
菅原伝授手習鑑 浄瑠璃傑作集 (温古堂文庫) Kindle版
「菅原伝授手習鑑」の検索結果:Amazon
楽天:
菅原伝授手習鑑 (岩波文庫) [ 竹田出雲(2代目) ]
「菅原伝授手習鑑」の検索結果:楽天
posted by 蘇芳 at 14:27| 江戸時代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする