2021年07月06日

【読書】竹田出雲「菅原伝授手習鑑」(岩波文庫)

こちらのつづきというか。
サクッと衝動買い~とか言ってた手前、こちらのほうも、姉妹ブログからコピペしておきます。



いうことでこちらで注文云々してたやつ。読了。


菅原伝授手習鑑 (岩波文庫) 文庫 – 1938/12/1

内容(「BOOK」データベースより)
菅原道真の配流を題材に家臣梅王、松王、桜丸三兄弟の忠節を描く。「義経千本桜」「仮名手本忠臣蔵」と並ぶ浄瑠璃三大傑作の一つ。
出版社 ‏ : ‎ 岩波書店 (1938/12/1)
発売日 ‏ : ‎ 1938/12/1
言語 ‏ : ‎ 日本語
文庫 ‏ : ‎ 125ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4003024125
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4003024126


式はやはり浄瑠璃なので、句読点は「。」だけですし、それも普通の区切りではないですし、送り仮名と振り仮名が一緒に行間に打ってありますし、その他その他アレですが。
やはりこの時代の大衆芸能&文芸は文語だ古文だといっても、耳で聴いてわかるレベル。わりとスラスラ読めますね(マア、地の文というか地謡というかは、掛詞というか駄洒落だらけで、すべて逐語的にわかるかというとアレですが、そもそもわかる必要もないというか、大意をとるのに苦労するわけではないですし)。
また、「義経千本桜」にくらべると、登場人物が正体を隠したりするシチュエーションも少ない(無くはない)ので、しかしてその正体は~的などんでん返しが多すぎることもなく、通読も楽というか、読みやすかったです。
まあ、菅原道真≒平安時代に、家来がセップクとか何とか大騒ぎする時代錯誤は、お約束とわかっていてもアレですし、寺子屋の段のニセ首の一件は、現代的な感覚で読むとやはりどうにも胸糞ですが……
そこをスルーできれば面白かったですし。
また、その胸糞な部分にしても、時代が違えば倫理も違うという定番の擁護に加え、そもそも、その時代においてさえ、ここで描かれる儒教的武士的君臣倫理の在り方はどこまで現実的なものだったか。太平の江戸時代に、武士でも何でもない戯作者が、武士でも何でもない町人相手の大衆芸能で、観客の泣菫を絞るために作り上げた修羅場・愁嘆場。一言で言えば、時代が違えば倫理も違う、その当の時代の観客にとっても、相当にファンタジーレベルの高い「倫理」だったのではないかと、それくらいのエクスキューズは必要かもしれません。
それくらいの前提に立ってみれば、「倫理」というより、「論理」として、「理解」できないこともないですかねというか。あるいは、細部の演出というか描き方を、少し工夫すれば、現代人にとってさえ、胸糞レベルを下げることは、さほど難しくはないかもしれない、くらいには思えました。
(※「源氏」をはじめ平安時代の古典にしばしば感じる違和感はおおむねただひたすら単に「汚らわしい」だけですが、本書のような江戸時代の大衆文芸に感じる違和感にはむしろしばしば「そこまでやるか」的な感嘆が含まれている場合があるのかもしれません。個人の感想ですが)


スタマーレビュー
5つ星のうち4.6
6 件のグローバル評価
星5つ…63%
星4つ…37%
それ以下は0%
ジャンルがジャンルなうえに版元品切れですから件数が少ないのは仕方無いかもですが。
それでも大好評なのは間違いなく。
今のところ低評価皆無。というか高評価しかありません。


ので当然ですが、
「作者連合(竹田出雲、並木千柳、三好松洛、竹田小出雲)の熟慮した構成、筋書き、文章のリズム感に驚きました。ああ観劇前に読めば良かったと後悔しました」とのレビュー:Amazon
「歌舞伎や文楽などである程度作品に親しんだうえで、上演されることが少ない段を補足するのが目的であれば、大変に頼もしく、これだけのものが文庫で手に入るのは本当に有難いものです」とのレビュー:Amazon
「はっきりいって、普通の現代人には、読みにくい。それでも、読み進んでいると、なんとなく江戸時代にタイムスリップしたような気分になった」とのレビュー:Amazon
など、大好評。
いずれも歌舞伎なり文楽なりを観劇したうえで読んでるようで、当方などより気合が入った人たちのようですが。それでも読みにくさには手を焼いているようではあります。
それでも、読めば読んだなりに皆さんしっかり感激しているようですし、そもそも、その読みにくさにしても程度問題。
「初心者には全くお薦め出来ません」とまで言っている人がいますが、チョット待テ。
当方、歌舞伎も文楽もナマで見たことはおろか、Youtubeあたりの動画でさえ、まともに見たためしがないというか、先だって「義経~」を読んで思わず検索、見てみようかと思ったものの十分持たずに挫折した、それこそ「初心者」どころのさわぎではない門外漢ですが。先日からくりかえしているように、書式はさておき、文章自体はスラスラ読めるましたですよ?というところ。
まあ、「源氏」は無理でも「伊勢」や「更級」くらいなら、わりとそこそこ読めますし、「方丈記」なら楽勝~という当方が、別の意味で「初心者」でないというならソレマデですが。
逆に言えば、そうですね、「方丈記」がスラスラ読める程度であれば、文章自体はさほど苦労もしない、あとは書式に慣れればいいだけです、とは、言っておきたい竹田出雲。迷うくらいなら、読んでおいたほうがよいというか。せっかく日本人に生まれたなら、読んでみないとソンですよくらいには面白いのではないでしょうか。


文の「試し読み」ができないのがナントモですが……こちらで書いたように、「義経~」のほうであれば、岩波ではない別のエディションですが、電子版へのリンクがありますから、書式は変えてありますが、それこそ「文章」自体はナンボのものなのか、参考程度にはできるでしょう。合わせてチェックしてみていただければ、というところですね。
また、電子版の
菅原伝授手習鑑 浄瑠璃傑作集 (温古堂文庫) Kindle版
自体は、本書にもあるらしく、「試し読み」はできないものの、「無料サンプル」はあるようです。
この「温古堂文庫」のエディションは、「漢字表記を旧字体から新字体に改め、適宜ルビを振り、台詞を鍵括弧でくくり出し」と、上でくりかえした「書式」について、ある意味で「改善」してあるようですから、電子書籍に抵抗のない方は、そちらから挑戦してみるのもありかもしれません。「義経~」を「試し読み」しつつ、検討してみていただければ、と。


然ながらというか残念ながらというか、楽天でも品切れ、古書の出品もなかなかありませんが。いつ何時出品されるかわからないのが古書でもあり……何でしたら、それこそ、関連書や、文楽・歌舞伎方面のDVDなどから入ってもよいかもしれませんし、
「菅原伝授手習鑑」の検索結果:Amazon
「菅原伝授手習鑑」の検索結果:楽天

などなど、チェックしておいてもよいかもしれません?

いろいろ含めて、健闘を祈ります。


品詳細はこちら→菅原伝授手習鑑 (岩波文庫) 文庫 – 1938/12/1
こちらもどうぞ?→
菅原伝授手習鑑 浄瑠璃傑作集 (温古堂文庫) Kindle版
「菅原伝授手習鑑」の検索結果:Amazon
楽天で探すならこちら?→
菅原伝授手習鑑 (岩波文庫) [ 竹田出雲(2代目) ]
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posted by 蘇芳 at 01:04| 江戸時代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする