2019年08月25日

【動画】野望にかけた生涯!足利義満と室町幕府【CGS 斎藤武夫 歴史の授業 第30回】


ChGrandStrategy から。


動画概要:
2019/08/23 に公開
今回はあの有名な「金閣寺」を作った足利義満についてお話していただきました!
元々、商業の発達を願っていた商人たちにはビックチャンスでした。
足利義満は中国に憧れを持ち、貿易で一儲けしようと考えて…?!

そして「金閣寺」ができた理由はこんな理由だった!など、今回も教科書には乗っていない、日本がもっと好きになる授業です!
最後まで野望にかけた足利義満の執念の生涯、その結末は一体…?

普段はいろいろとケチをつけたくなる部分もわりと大量な斎藤氏のシリーズですが、今回に関していえば、義満の逆賊っぷりが相応に押さえてあってよかったかと思います。(こちらがあまりこの時代に詳しくないので、オカシナ点があっても気づかない、という面もあるかもですが)

特に最後の皇位簒奪計画については、当ブログでも何度か触れていますし、今谷明の「室町の王権―足利義満の王権簒奪計画 https://amzn.to/2Hq0PyN」あたりをぜひ読んでくださいというところですが……
それによると、本来皇室をお守りすべき公家の多くが一部を除いてかなり積極的に義満に媚びへつらったのに対して、「御恩と奉公」で足利家と結びついているはずの武家の側からこそ義満の野望を挫く動きが出てくることが、皮肉というか興味深い展開です。(太上天皇の尊号にしたところで、贈ろうとしたのは朝廷の側で、辞退したのが幕府の側です。幕府・武家が良識を発揮しなければ、公家が国を亡ぼしていたかもしれないことになります)
もちろん、義持はじめ幕府がそうした良識を発揮したのも、何も心底から尊王心が篤かったというわけではなく(ある程度はそれもあったかもしれませんが)、前掲書によれば、武家相互のパワーバランスの問題が大きかったようです?

義満の時代に南北朝が「合一」しますが、裏を返せばそれはとりもなおさずついこの間まで国を二分する抗争・動乱が続いていたということでもあり、そもそも足利自身の観応の擾乱をはじめ、室町時代初期というのは下剋上と内乱の暇ない危険な不安定な時代でもありました。義満が権勢をほしいままにしたとして、それを見守る諸大名の胸中が、決して、忠義一辺倒だったわけではないでしょう。
あわよくば、すきあらば。今はまだ。両天秤。etcetc。。
そんな彼らにとって、足利にあまりに過剰な権威・権力が集中しすぎることは、必ずしも望ましいこととは限りません。まして皇位簒奪などは言語道断。足利といえど、現状では、たとえどれほど実力があろうと、原理的にはあくまで天皇の臣下にすぎず、つまり数ある武家のなかの一つにすぎませんが、ひとたびその埒を踏み越え、至尊の御位につこうものなら、それこそ逆立ちしてもかなわない絶対者になりおおせてしまいます。断固、阻止。武家こそがそう考え、彼らの支持を必要とした新将軍・義持を動かした、という面があるらしいことを、意識しておくべきかと思います。

尊皇の志士の個人的見識ではなく、権力闘争の御都合が、皇室を守った。本来、武家以上に直接に皇室の藩屏たるべき公家は、(一部の良識派が日記の中で憤懣をぶちまけるくらいで)、大した役にも立たなかった、ということは、いろいろな意味で覚えておくべきことかもしれません。テンノーヘーカバンザーイ、と、口先で言っていれば(それも大事ですが)それだけで皇室が守れるというわけではないのでしょう。

もう一つ。動画では触れられていませんが、義満が皇位簒奪の野望をたくましくした背景には、皇室との血縁関係があったと言われています。それも源氏だから元は皇族~などという気の遠くなる話ではなく、もっと直接的に、後円融天皇と義満は、母親同士が姉妹。義満は後円融天皇にとって「母方の従兄弟」ということになります。また、義満の母方の祖母は順徳天皇の曾孫に当たるとか。ヤヤコシイですが……つまるところあくまで母方の血筋を介してですが、義満は「順徳天皇の五世孫」でもあったわけです。
常識的には、それがどうした、という程度の母系の遠いかかわりにすぎませんが、理屈というのはどうとでもこじつけることができるもので、肥大した自尊心と権勢欲の持ち主なら、皇位簒奪の資格ありと僭称する「根拠」のデッチアゲの材料にもなしうる血縁ではあるでしょう。
そう思えば、皇室から臣下の「男子を排除」する原理を幾重にもしっかりと確立しておくことの、わが国にとっていかに死活的に重要であることか、あらためて確認できようというものかもしれません。

Amazon:
室町の王権―足利義満の王権簒奪計画
足利時代史 (講談社学術文庫 341)
倉山満が読み解く 足利の時代─力と陰謀がすべての室町の人々
歴代天皇で読む 日本の正史
学校でまなびたい歴史
posted by 蘇芳 at 01:19|  L 「CGS 斎藤武夫 歴史の授業」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする