2019年03月24日

【動画】[富士山223] 力を秘めた山


N.a. から。


動画概要:
2013/01/24 に公開
山頂からのぼる煙に内に秘めた偉大な力を感じ、歌人は熱い思いを重ねました。

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「富士山と和歌」

平安時代、富士山は噴火を繰り返し、活発に活動しました。はげしく火をふく富士山は恐れられる一方、熱い思いの象徴として、国中の人々から尊ばれたといいます。歌人たちもまた、この山に燃える思いを重ねました。
『古今和歌集』には富士山を詠んだ歌が5首存在しますが、
<君といへば 見まれ見ずまれ 富士の嶺の めづらしげなく 燃ゆるわが恋(恋四巻・詠み人知らず)>
など、はげしい愛の歌が詠まれています。
ようやく噴火がおさまってからも、和歌の世界では変わらず、噴が立ちのぼる燃える山とされました。僧侶であり歌人の西行法師も、富士山の煙に自らの熱い思いを託した歌を残しています。
ひとすじの白い煙に、秘めたる偉大な力を感じ取り、胸の内にあるはげしい感情やくすぶる恋心を重ね合わせる――自然を見つめ、自然とともに生きていた当時の人々には、そんな風流で、豊かな感性がありました。

Present by 静岡県(制作2010年5月)

万葉集の昔から富士山はくりかえし歌に詠まれてきたわけで……富士の高嶺に雪は降りける~など、それらは必ずしも火山であることに注目した歌ばかりではありませんが、平安時代になると、上の概要にあるような比喩に使われることがわりと増えていったとか。
歌の作者が実際に富士山を見たことがあったかどうかは、ワカリマセンけどね。。
富士山に限らず歌枕の地という虚構的お約束ができあがっていくのも和歌の世界。そうしたイメージとしての富士山にも、それはそれで、この国で生きてきたご先祖たちの心象風景として、生の現実とはまた違った意味や価値があるのかもしれません。

そういえば、和歌文学だけでなく、散文の世界でも、「物語の出で来はじめの祖」には、富士山にまつわるオチがついていますね。
あふこともなみだにうかぶ我が身には死なむ薬も何にかはせむ
「不死」の薬を焼いたから「ふし山」という地名起源説話であると同時に、その焼いた煙が今も立ち上りつづけているという、噴煙にまつわる伝説でもあります。
(ちなみに、現在、浅間神社の御祭神といえば木花之佐久夜毘売ですが、もともとは富士山の女神といえば「かくや姫」だったという話もあるそうです?)

富士山が富士山であるゆえんとしては、単に高い山というだけでも、姿の良い山というだけでもない、それが火山であることも、早くから注目されていたのでしょうね。

考えてみれば天孫降臨の伝承地、日向高千穂の嶺というのも火山ですし、こちらでも触れたように一般には偽書とされている「富士古文書」「上記」等によれば、他でもない富士山こそ高天原だったとかという伝承まであるそうで。
日本の歴史は、火山という存在と、切っても切れないものではあるのかもしれません?

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posted by 蘇芳 at 20:36|  L 「富士山223」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする