2019年02月02日

【動画】すばやく学ぼう!世界の百年 第17回「9世紀の世界 菅原道真はなぜ偉いのか 世界史を拒否する日本」


チャンネルくらら から。


動画概要:
2014/12/08 に公開
今後、日本と大陸との交わりを断つことを決断した菅原道真公!その理由は・・!?

ということで前回先回りして名前を挙げておいた学問の神様ですが。。

二言目には大宰府への左遷と死後の怨霊化ばかりが語られて、とりあえず「東風吹かば~」と「恩賜の御衣~」くらいを知ったかぶっておけばよいような風潮があるようなないような。
結果、「政治家」としての功績が今ひとつスポットを浴びる機会が少ない人物のような気がしないこともありません。

こちらこちらなど、ここのところしばしば言及している聖徳太子などもそうですが、日本の偉人については、ただひたすら奉っていればよいというものではなく、功罪合わせてその実像から「本当の偉さ」を知りたいところです。
菅公については、遣唐使廃止はもちろん、こちらなど、延喜の改革の真の立役者だったという説まであるそうですから、なおさらです。

ところで、菅原道真、学問学問といって、専門は明経道(儒学)でも紀伝道(歴史)でもなく、文章道(文学)なわけですが。
なんでそんなお文学の専門家が大臣などをやっているんだという、そこからして現代人の感覚では説明が必要かもしれません。

私も門外漢なので正しい「説明」をしろと言われても困りますが。。

平安時代の男性貴族にとって、表向きの「文学」といのは漢詩漢文だったわけで。
古代チャイナにおける漢詩漢文の作者というのは、(多少の例外がいるのかいないのか知りませんが)その大半が政治家や官僚や武人だったのではないでしょうか。
李白は玄宗皇帝のブレーンでしたし、杜甫だって(科挙には落ちたくせに)仕官のツテを求めて奔走しています。杜甫の詩には猟官運動のために有力者に贈ったものも含まれるとか。
太公望だってただの釣り好きの老人どころではありませんし。「隠遁詩人」「田園詩人」と称される陶淵明でさえ、それ以前には何度も宮仕えしています。
そもそも古代チャイナにおいて、漢詩漢文などをもてあそべる時点でエリートですが。科挙に受かってナンボのチャイナにとって「エリート」というのは要するに……ということで。。
そんな政治的エリートの作った漢詩漢文をきちんと理解しようと思えば、作詩の背景から理解する必要があり、往々にしてそれは政治的・軍事的・歴史的背景になるのではないでしょうか(挫折や敗北、隠遁や厭世も含めて)。
つまるところ、古代における漢文マニア、チャイナマニアというのは、ほぼ必然的に、政治マニア・軍事マニア・歴史マニアにならざるをえないのかもしれません。(実際、文章道はいつしか紀伝道をも吸収していったようですし)
それはある意味、政治家・官僚にとって、教材の宝庫というべきかと。

だからこそ、よりにもよって文章博士という病膏肓に入った漢詩漢文マニアが、唐に学ぶべきものなどない、と、遣唐使廃止を言い出したことには、大きな意味があったというべきではないでしょうか。
今回の動画でも戦国大名の興亡レベルで王朝が交代する変転常なき「世界史」のロクでもなさが主張されていますが……漢詩漢文を通して誰よりもチャイナをよく知る菅原道真にして、こちらでチェックしたような彼らの救いようのない内ゲバ体質など、見えすぎるほどによく見えていたのかもしれません?

そしてその漢詩漢文マニアが、それこそ七言律詩が似合いそうな、讒言による政治的挫折を味わうというのも、よくできた皮肉というべきかもしれません。

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並べて学べば面白すぎる 世界史と日本史
菅原道真 (人物叢書)
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追記:
童画で言及されている宇多天皇・醍醐天皇の皇籍復帰についてはこちら↓なども参照……
日本のこころを探して:皇籍復帰の実例
……と思ったら動画はすでに消されていますが💧
あらましについては記事本文でまとめてみた気はしますので、眉に唾でもつけながらどうぞというところ。
まあ、調べればすぐにわかる話ではあります。