2018年12月19日

【動画】日本人だけが知らないインテリジェンス「コミンテルンの歴史」柏原竜一 秋吉聡子


チャンネルくらら から。


動画概要:
2018/12/19 に公開
ロシア革命後、なぜコミンテルンが誕生したのか?

最後の最後で言われていますが、共産主義の本質は明らかにカルト宗教です。
(キリスト教との関係もつとに指摘されていますが……)
が、問題は、そんなカルト宗教に世界中のインテリがコロッと騙されてしまったという過去の現実。
彼らが私たちより頭が悪かったなどということは、決してないはずでしょうにね。。

私事で恐縮ですが、最近、竹山道雄を二、三冊立て続けに読みました。
竹山道雄というと、一般世間的には、後にも先にも「ビルマの竪琴https://amzn.to/2EzNeoA」の人で、それさえも映画のほうが有名で原作は知らないという人も多いかもしれませんが。
以下のいくつかのテキストを読むだけでも、簡単に忘れ去ってよい著者ではないようにも思います。
人間はナマの現実の中に生きているのではなくて、彼が思い浮かべた現実像の中に生きている。もし彼がはげしい要求をもっていると、彼はこの現実像をただ要求にしたがって構成して、それをナマの現実とつき合せて検討することを忘れてしまう。かくて、いわば「第二現実」とでもいったようなものが成立する。これは映画に似ている。すなわち、ある特定の立場から材料を取捨選択してモンタージュしてでき上ったものであり、現実を写しながら現実とは別なものである。この映画は、それ自身の中に因果の法則をもち、筋書をもち、昂奮させ陶酔させる。……進歩主義的世界像も「第二現実」というタイトルをもった映画である。
このように、人間が世界についての映像をもち、かつそれを他から与えられるということは、慣れた軌道をゆく日常生活の中では気づかれずにいるが、危機的な異常事態の際にははっきりとあらわれる。新しい未知の世界がひらけてきたときには、それをいかに思い浮かべるべきかを指示されたいと切望して、あたらしい「第二現実」の教師を待望する。それにしたがって、世界の中の自分の位置を確定したい。権威をもって語る言葉がほしい。三二年テーゼのようなものがなくては、どう考えていいか分らない。その指示が真実であるかどうかは問題にならない。とにかく自分の欲求と想像力と依頼すべき集団性をみたしてくれればいいのである。
昭和五十四年七月号の雑誌「心」に、哲学者高山岩男氏が戸坂潤氏と議論をした回想を記している。昭和十年頃のことだったらしい。それを引用すると……

 ……少々私(高山)も議論を吹きかけ、歩きながらの議論はスターリン主義のことにエスカレートしました。私はスターリン主義はレーニン主義からも遠く離れているが、マルクス主義からは恐ろしく離れている。あれでもいいのかという議論になりました。すると彼(戸坂)はいいと言う。なぜいいのだと私が訊ねる。その時です。今もなお私の耳朶に残っている言葉を彼は申しました。それは「スターリンが言っているから、それは真理なのだ!」という言葉です。申すまでもなく、これは全体主義、あるいは全体主義的権威主義の立場でのみ吐きうる言葉で、それはたとい宗教の場合はそうであっても、哲学というものでは絶対にありませぬ。理性の立場、哲学の立場の放棄です。
戸坂氏は真摯なマルキシズムの学者で、敗戦直前に獄死し、戦後の青年の尊敬の的だった。
スターリンはこれから後二十余年も神聖不可謬の絶対者だった。戦後になってスターリンの写真が発表されたとき、その髪も髭も白くなってかつての精悍な風が失せた姿を見て、人々は「スターリンでも年をとるのか」と驚いた。スターリンを疑うことは大不敬罪にあたっていたが、死後三年たって、彼は大犯罪者であったと暴露された。
スターリン崇拝は、まさに「第二現実」の中をさまよう代用宗教だった。
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主観と客観は一致するか、人間はついに「現実」を知り得るかという命題は、イデア論の昔からあるテーマであって、必ずしも竹山氏の独創でもないかもしれません(テツガクとかよく知らないのでわかりませんが)。戦後日本では「共同幻想論」や「史的唯幻論」が流行ったこともありました。
ただ、それらの「論」がそれ自体、読者に現実をみる見方を教え、「第二現実」を作りだすドグマと化す、という罠に陥りがちであるのに対して、直近の歴史的事実に向き合う竹山氏の議論は、もう少し地に足がついた堅実さを感じさせ、しかるがゆえに、実用上の解毒作用が大きいような気がします。
(フロイトのドグマから日本史を再構成する岸田秀の「史的唯幻論」の手法は、階級闘争・進歩史観というドグマから歴史を再構成する共産主義者のそれと、どれほど隔たっていると言えるか? 一方、歴史を見るときの竹山道雄の立脚点はといえば、それらドグマによる「かくあるはずである。故に、かくある。もしそうでない事実があるなら、それは非科学的であるから、事実の方がまちがっている」という「上からの演繹」を徹底的に批判し拒絶するところにあるようで……それが当方の誤読でないのなら、何らかの教義に依存するイデオローグより、個人的には、はるかに信頼に足る気がする)

共産カルトの嘘から目覚めるのは大変結構なことですが、いわゆる「薬が効きすぎ」た結果、偽装右翼や似非保守や愛国詐欺や。別の形でのカルトにハマることもありえなくはないのが、「ナマの現実」を生きえない人間の陥りかねない落とし穴。かもしれません。
いずれ「思い浮かべた現実像」を生きるしかないのなら、その「現実像」をいかにして適正化していくかが問題になるわけで……
それを「ナマの現実とつき合せて検討することを忘れ」ないためにも、過去の歴史からカルトの構造をつかみだしておくことは、必要な作業になるような気がします。

動画からは微妙に話がズレたようで恐縮ですが💦

動画の最後でも批判されている、目的が手段を正当化する類の共産主義者の嘘八百。「あらゆる種類の詐術、手くだ、および策略を用いて非合法活動を活用し、真実をごまかし且隠蔽しても差支えない」、レーニン的な信条については、
日本のこころを探して:【動画】ロシア革命~レーニン
あたりの引用文なども一読してみていただければ、と。。

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