2018年10月29日

【動画】「重版御礼!『日本占領と「敗戦革命」の危機』~日本の経済政策はなぜダメなのか?」江崎道朗 渡瀬裕哉 倉山満


チャンネルくらら から。


動画概要:
2018/10/28 に公開
★おかげさまで、重版御礼!『日本占領と「敗戦革命」の危機 』(PHP新書)
江崎 道朗 : https://amzn.to/2CO3O2z

私事で恐縮ですが、しばらく前によそ様のとあるブログを拝見して頭を抱えたことがあります。
何かというと、こう……
”ベンゴシというと世間では反日左翼ばっかりだといわれているが、この弁護士さんは違うっ! 筋金入りの保守だ。なぜなら北一輝の子孫だから。”
と書いてあったわけです。

わざわざ探しなおしてリンクを貼るのもばかばかしいですが。
国家を「改造」しろと主張した国家社会主義者のどこがどう「保守」なのか個人的にはサッパリわかりません。(※北一輝「日本改造法案大綱」

昨日もこちらで触れましたし、こちらこちらこちらなどなど。二二六事件や三島事件、三島由紀夫を無条件に絶対化する一部崇拝者への違和感などについては、折に触れて書いてきましたが……
どうも、こういう話をすると(動画の倉山氏の言葉を借りれば)「キーとなって聞いてくれない」人で、自称「保守」界隈というのは、あふれかえっているのでしょうか。当ブログのアクセス方面でもそういう傾向を感じないではないですが。。

しかし、気持ちよく陶酔できようとできなかろうと、イデオロギー化した「浪漫」で歴史や文化や、まして政治や安全保障を語るべきではないことは、くりかえし肝銘すべきことに思えます。
一例を挙げれば、日本とチャイナが連携して西欧に対抗すべきだというまことに「浪漫」的な幻想の、いかに非現実的だったことか(非現実的でありつづけていることか)、今となっては明らかというものではないでしょうか。しかるにこうしたアジア主義こそが、コミンテルンに足元をすくわれる弱点にもなったのではなかったか。近衛秀麿の父は近衛篤麿ですし、皆さんの大嫌いな朝日新聞で健筆をふるっていたコミンテルンの尾崎秀実は「支那問題の専門家」だったわけです。
先日こちらで触れた大東塾の影山正治は、二二六事件の青年将校や、永田鉄山惨殺の相沢三郎などを称賛し、血盟団事件の関係者を「十年の同志」と呼び、内田良平を尊敬して大陸満蒙に思いをはせる歌を詠みまくったあげく、自らも要人暗殺を計画し、露見して、獄に降りました。

「国士」「壮士」の類が、多く、真面目で純粋で真剣で情熱的だったこと、個人としては尊敬に値する「人物」であったことまで否定する必要はありませんが(もちろん中には似非もいるでしょうが)。真面目で純粋だからといって、誤解や勘違いを犯さない保証はありません。真面目で純粋だからこそ、悪意の詐欺師には騙されやすくさえあるかもしれません。
崇拝という思考停止によって、そうした誤謬の検証から目を背けることは、本当の保守や愛国の道ではない、のではないか。一度くらい、そう疑ってみても良いのではないでしょうか。

戦後レジーム云々、日本を取り戻せとはしゃぐのも悪くありませんが……

上の動画で言われているように、民族派・伝統派・そして「保守」という大雑把なくくりのなかには、「自由主義」的なものだけでなく、国家「社会主義」的なものも実は混ざっている。そのことをしっかり弁別しておく必要はあるでしょう。
(弁別したうえでなお「清濁併せ呑む」というのなら、まあ、できるものならやって見せろと思わないでもありませんが……
天皇大権の発動によりて三年間憲法を停止し両院を解散し全国に戒厳令を布く。(北一輝「日本改造法案大綱」
などと、「天皇」を私物化・傀儡化せんと企てる社会主義者とその一党を「保守」と勘違いするほどの無自覚さに至っては、どうにも「残念」すぎて言葉を失うしかないものに感じます。)

とりあえず何というか、江崎さんガンガレというところでしょうか。
日本における「先の戦争」が相変わらず大東亜戦争で止まっている一方で、米国でのヴェノナ発の歴史の見直しは朝鮮戦争にまで至っていますか。いわゆる「逆コース」や自衛隊創設の背景でもあるはずの戦争だった気がしますが、「保守」派的に信頼できる情報が多いとは言い難い戦争でもあるような気もします。今後の情報発信に期待したいところかと。

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