2017年11月10日

【動画】拉致事件を解決できない日本は・・特別番組「国際法で読み解く世界史」


チャンネルくららから。


動画概要:
2016/11/17 に公開
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国家権力の一つに司法権というのがありますが。
安定した国家秩序の形成には、この司法権の「独占」が欠かせません。

悪逆非道・乱暴狼藉の類が行われたとき、それを自力でどうにか(私的に報復)しなければならない世界を、「無法」地帯と言います。
そうではなく、しかるべき機関に申し出れば、事実を調査したうえ、「法」の裁きを下してもらえるというのが、文明社会というものでしょう。
つまるところ、この「法の裁き」というのは、私的な報復・復讐の「代替」「代行」、つまるところ「公的復讐」という性格を、一面で帯びているのではないでしょうか。

悪逆非道の被害を受けた国民が、正当な訴えを行えば、非力な個人に代わって、圧倒的な力で胸のすくような「復讐」を行ってくれる――国家権力がそのようなものであるかぎりにおいて、国民はその権力の支配に服するのだともいえるでしょう。
何かあったら親分がきっちりオトシマエをつけてやる。そのかわり子分同士で得手勝手に殺し合うな、と……法秩序の萌芽というのは、要するにそういうところにあるのかもしれません。
(動画の中で、一人の国民のために全力を挙げるのが国家だと言われている文脈が、これだとも言えるでしょうか?)

要するに、「司法権」とは、極言してしまえば「復讐権」の別名。
法秩序の確立とは、「私的復讐の禁止」と「公的復讐の独占」をこそ目途とするものなのかもしれません。
(裏を返せば、公権力や国家秩序(を確立しようとする者)にとって、私闘・私的復讐の蔓延は、常に脅威であり、それ自体が取締りの対象になります。同じ時代劇のヒーローでもお白州で桜吹雪を見せびらかす人はすれすれで合法ですが、必殺ナンチャラは彼ら自身がアウトロー≒端的に犯罪者。中世ヨーロッパで手袋を投げつけて云々というのも、時の政権的には基本的には禁止・少なくとも制限しようとやっきになっていた慣習でもあるでしょう)

となれば、その禁止と独占を、実際に、どの程度のレベルで実現できるか?
それこそは、その国家秩序の堅牢さのメルクマールたりうるとも言えるのかもしれません。
(皇室が2600年の命脈を保つほどの堅牢さを示す一方で、外国には、果てしない易姓革命で狂ったように国家の看板が入れ替わる野蛮人の住む穢土もあるようですが……その住民の遵法精神の無さと国家の短命さの間の相関関係は、さてどちらが卵で鶏なのか)

私的復讐を禁止するには、私的復讐の代替たりうる解決策(≒公的復讐)と、それを実行するに足るだけの超越的な強制力が必要です。
つまるところ、国家の復讐権の及ぶ範囲こそが国家権力の及ぶ範囲であり、実力によって決定される国境とは、そのようなものであるとも言えるでしょうか。
(国内の外国人犯罪(拉致や殺人や窃盗、密猟の類)を取り締まることも、取り締まろうとすることさえもできないどこかの島国は、そういう意味では、「国家」のていを成していないとも言えるのかもしれません)
産経ニュース:
小笠原に押し寄せる中国船、「宝石サンゴ」密漁か 「守るすべない」「島民は不安」
「漁場が死滅している」中国船の漁網被害に島民憤り

しかして、復讐権の及ぶ範囲こそが国家秩序の範囲であるとすれば……では、その外は?
そのような復讐権を、全地球規模において独占しうるほどの、超越的に強大な「力」は、はたして、存在しうるでしょうか?
「世界の警察」だの、米国がそれを降りるの降りないのというのは、所詮、どこまで行っても比喩。
国内法の世界(国家)と、国際法の世界(国際)の違いは、この禁止と独占の不可能性にこそあるのかもしれません。
要するに、冒頭で述べた「文明社会」よりは、もう一方の「「無法」地帯」にはるかに近いのが、いわゆる国際法の扱う領域であるということになりそうです。

となれば、そもそも「無法」状態において「法」を云々すること自体が、言葉の上では背理ということにもなります。
国際法は「仁義」に置き換えたほうがわかりやすいという倉山発言も、そういう意味では、むべなるかな、というべきなのかもしれません。
国際法は「武器」であるという発言も、ここにおいて、スムーズに理解しやすくなるでしょうし、その「武器」についての専門家の不在という状況が、いかに危険なものであるかということも、おぼろげに了解できるのではないでしょうか。
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