チャンネルくららから。
この当時の「五大国」というのはこちらの動画でも言われていたとおり、英露墺普仏。
実際、近代日本の戦争を思い起こしてみれば、日英同盟、日露戦争、
その裏にあったのは露仏同盟におびえた独逸皇帝(≒普魯西国王)。三国干渉も彼が仕掛けたものでした。
その後の協商時代を経て、第一次大戦の着火点は墺皇儲フェルディナンド夫妻の暗殺。
……という具合に、主要なプレイヤーはほとんど常にこの五ヵ国であって、米国などはかやの外。日露戦争の和平斡旋や第一次大戦への大量派兵などで漁夫の利をえただけだ、とも、言って言えないことはありません(それが米国の有能さだとも言えるかもしれませんが)。
単純化して言ってしまえば、当時、海の覇権国は英国であり、その海洋覇権に対する挑戦者として、世界最大の陸軍国としてのロシアが台頭していた、ということになるのかもしれません。
ペリーに先立つ「黒船」がこちらに登場した英国のフェートン号であったり、ロシアのレザノフであったりしたことも、偶然ではないのかもしれませんし、ペリーに対抗するようなタイミングでいち早くくりかえし来訪したのもロシアのプチャーチンでした。
また、幕末の薩摩が英国と同盟したことは有名ですが、その薩摩の西郷隆盛を心服させたという橋本佐内などは、ロシアとの提携を主張してもいました。
日本も米国も、この五大国の(わけても海洋覇権をめぐる英露の)対立抗争という国際環境の中で、生き残りをかけてあがく「小国」だった、という意味では、立場を同じくしています。
(こちらの動画などでは、コンプレックスかルサンチマンか知りませんが、米国は西へ西へ進んできた~などと薄っぺらい非難をさえずる講師もいたようですが、なぜ西を目指したのかといえば、東には(五大国が怖いので)進めなかったからだとも言えます)
日本という「小国」が最初に「開国」し、最初に条約を結ぶ相手として選んだのが、(同時期にくりかえし来訪した「大国」ではなく)、同じ「小国」の米国だった、という、そのことの意味は、あるいは、合従連衡・鶏口牛後など、兵法的な武士の同盟戦略として……読み解ける。のでしょうか?
(動画でも言及されている倉山氏の「嘘だらけの日米近現代史 (扶桑社新書)」には何やらそんなニュアンスのことも書いてあったような気がしなくもないのですが……読んだのもずいぶん以前のことなので、記憶違いかもしれません💦)
ウソかマコトか、日露戦争当時の米大統領セオドア・ルーズベルトが「日本は米国のために戦っている」と語り、日本海海戦の勝報に接しては、
神経昆進して身全く日本人に化し、公務を処理するの念なく、ただ来訪者に対し海戦の情況を談話して終日を送ったとのありさまだったという有名な挿話も、「五大国」に伍していかなければならない当時の米国の立ち位置を念頭において見れば、(単に美談に酔っていい気になる以上に)、よりよく理解できるようになるのかもしれません。
いわゆる黒船来航によって「開国」した日本と米国は、その後、第一次大戦の勝利を以て、両国共に、新たな「五大国」へと雄飛していくことになります。
日米は敵であるよりパートナーであった時代のほうがはるかに長い、ということも、似非保守に騙されないためには、押さえておいてよい史実ではあるのかもしれません(もちろん「パートナー」の定義は単純な「オトモダチ」などではないでしょうが、その違いを理解するためにも、日米交渉史の「実際」を知ることは有益かもしれません)
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大間違いのアメリカ合衆国
ラベル:「世界と戦った日本人の近現代史」 江戸時代