2017年05月22日

【動画】天皇の講座「大正天皇」


チャンネルくららから。
ただしテーマがテーマだけに視聴には注意も必要かもしれません。


動画概要:
2017/05/21 に公開
日本一やさしい天皇の講座 (扶桑社新書)
倉山 満 :http://amzn.to/2rKlEKZ

「大正天皇の伝記を読んでください」と気楽に言ってくれますが。大正天皇にかんしてはそもそも伝記自体がとても少ない。そして内容も著者の政治的スタンスに非常に左右される。そのこと自体が大きな問題でもあるでしょう。

大正天皇 (朝日文庫)」は皇太子時代の大正天皇の溌剌としたお姿を肯定的に描き出したと評判になりましたが、それはその「健全な大正」に対する「暗黒の昭和」を批判・否定・誹謗中傷するための作為でしかないようにも感じます。出版社を見ればお察しですが。暗黒の昭和の侵略の歴史ガー、という反日左翼捏造の大前提を強化するために大正天皇の「悲劇」を利用する政治的文書の臭味が強すぎます。

大正天皇―一躍五大洲を雄飛す (ミネルヴァ日本評伝選)」は大正天皇ご自身の伝記というよりは大正天皇をめぐるメディアの言説、大正天皇の「パブリックイメージ」をめぐる時代描写が主です。

残るは「大正天皇 (人物叢書)」あたりですが、大正天皇の能力識見は元より、通常は「気さく」と評されることの多いお人柄に至るまで「軽率」の烙印を押してはばからない一冊です。

小説で恐縮ですが、「大正の后(きさき)」は、逆に大正天皇・貞明皇后の「善良」さを強調するのあまり、お二方を脳内お花畑の白痴的反戦平和主義者に仕立て上げることになっています。それというのも、上の原武史と同じく、左翼反日昭和暗黒史観にとらわれているため、昭和の「侵略」の「大罪」から、物語の主人公を救済するための作為でしょう。

大正時代とは、第一次世界大戦とロシア革命など、反日左翼がごまかしておきたいイベントがてんこもりの時代です。
また、わずか15年の間に10回も内閣が変わった、ブーメランの名人だらけの政局と衆愚政治の時代でもあります(原敬などはまさにそれら「名人」の筆頭でしょう)。
それは、未だ「歴史」になりきれていない、生々しい「政治」の対象たらざるをえない、中途半端に「近い過去」というべき時代なのかもしれません。

倉山氏の発言も、当然、彼自身の政治性から自由であるはずもなく……
元々の芸風もアレなうえに、「天皇」を利用して政敵を撃つ手口の実例などもいくらでも知っている人でしょう(山内容堂の「幼仲の天子」発言などは倉山氏のお気に入りですね)から、眉に十分な唾をつけて試聴すべき動画かもしれません。

ちなみに、天皇・御皇室に対する日本人の情緒を「認識」してはいるものの、その情緒を倉山氏自身が「共有」しているかどうかは、正直、個人的にはうさん臭さも感じます。
倉山氏は皇室の機能を「評価」してはいるのかもしれませんが、それがすなわち皇室を「尊崇」していることになるのかどうか? そんな素朴な日本人の情緒的反応など、格好の玩具として愚弄することこそ、むしろ倉山氏の芸風ではないのか?と。
それがデリケートな問題をめぐる倉山氏の思考に客観性・中立性を担保しているうちはよいですが……
「中立」とは「両方の敵」の意味だというのは倉山氏自身のお言葉(確かこれまでに試聴した動画のどれかのなかで発言しています)。
いかにも客観的なもっともらしいロジックを積み重ねているうちに実はとんでもない結論へミスリードされているのではないか? そう疑い、検証する努力から、倉山氏の発言を除外してはならないでしょう。

とりあえずは、現在、日本の敵があらゆる虚偽や詭弁を総動員して達成しようと目論んでいる目標の核心が、「男系継承の破壊」に他ならないことだけはしっかりと認識し……自称真正保守の言説がそれへの妥協や接近を示していないかどうかは、チェックし続けるべきポイントかと思います。

しかしそれでも、いわゆる保守派の言論人の言説が、しばしば、安直かつ安易な思考停止や自家撞着に陥りがちであるという指摘は、あながち間違ってもいないでしょう。
こちらこちらでも書きましたが……
御歴代の天皇すべてがすべからく聖人君主であらせられたかのような幻想は、仏教派の天皇・皇族(聖徳太子、聖武天皇、孝謙・称徳天皇など)を厳しく非難する幕末のある種の尊皇家の思想とは容易には相いれませんが、その双方を十羽ひとからげに「マンセー」してはばからないのが、自称保守派の言論人だったりすることも多いのではないでしょうか。

御皇室に関することに限らず、アジア主義と共産主義の問題もそうですが、保守派の言論・思考にはしばしば甘さや虫の良さも目立ちます。
それが日本の敵を利するようなことは、あってはならないでしょう。
日本を取り戻す、その最大の機会が到来しつつあるかもしれない時代だからこそ、「保守」の言論・思考のさらなる洗練と深化が急務なのかもしれません。
日本一やさしい天皇の講座 (扶桑社新書)
嗚呼大正天皇 合本版 (パブリックドメイン NDL所蔵古書POD)
大正天皇―一躍五大洲を雄飛す (ミネルヴァ日本評伝選)
posted by 蘇芳 at 21:50| 大正 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする