2016年12月29日

【動画】信時潔:交声曲《海道東征》 第六章〈海道回顧〉(1941)


信時潔「海道東征」第六章。


wiki:海道東征
海道東征のホームページ(6)海道回顧

こちらでwikiを引用しておいた、
舟軍を率いた彼らは、日向を出発し筑紫へ向かい、豊国の宇沙(現 宇佐市)に着く。宇沙都比古(ウサツヒコ)・宇沙都比売(ウサツヒメ)の二人が仮宮を作って彼らに食事を差し上げた。彼らはそこから移動して、岡田宮で1年過ごし、さらに阿岐国の多祁理宮(たけりのみや)で7年、吉備国の高島宮で8年過ごした。
wiki:神武東征>あらすじ・古事記
という十数年に及ぶ航程、「その幾歳」「その行き行き」を一気に回想しています。
第五章の牧歌的な長閑な曲調とは打って変わって、しみじみとした旅情、感慨を感じさせる仕上がりでしょうか。

ちなみに冒頭の「かがなべて、日を夜を」は、記紀歌謡に親しんでいる人なら、反射的に、
かがなべて 夜には九夜 日には十日を
を思いだすのではないでしょうか。
これもまた、後の景行天皇の御代、日本武尊の東征途上の、羇旅の情感をしみじみと伝えるエピソードでした。

「かがなべて」というわずか一句によって、長い長い旅のイメージが喚起され、歌のイメージに広がりを与える……これも一種の「本歌取り」でしょうか。
「海上東征」は、記紀、万葉、祝詞など、様々な言の葉を引用することによって、巧みにイメージを重層化しているようです。

全八曲のなかで縦横に織り成されるそのイメージの領域においては、瓊瓊杵尊、神武天皇、景行天皇、日本武尊などなど、様々な別々の天皇・皇子たちが、遙かな時をこえて、相互に結びつき、重なり合い、混然一体となって、神話的な「原型(アーキタイプ)」へと結晶化しようとさえしているのかもしれません。
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「海道東征」への道
信時潔:交聲曲「海道東征」/我国と音楽との関係を思ひて/絃楽四部合奏 - 弦楽オーケストラ版 -[SACD-Hybrid]
posted by 蘇芳 at 01:38|  L 「海道東征」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする