2016年08月29日

【動画】「みんなで学ぼう!日本の軍閥」第2部第6話(最終話)山本五十六~名将か愚将か~


チャンネルくららから「みんなで学ぼう!日本の軍閥」第2部第6話。



日本人というのはお人好しですね。
パールハーバーを「騙し撃ち」と言われれば、あれは害務省の手違いだの、開戦に宣戦布告が必要だという国際法はないだの、ルーズヴェルトの陰謀だの、ヴェノナ文書だの、まじめに反論しようとします。
無知で阿呆で恥知らずな米国人が、ヒロシマ・ナガサキの正当化のためにありもしない「パールハーバー虐殺」をでっちあげようとすれば(実際にそういうアホがいるから困りますが)、日本は軍事施設しか攻撃していない云々と、やはり真面目に反論しようとします。

それは日本人の美徳には違いありませんが……

ハワイ作戦から「占領」の二文字を省いた五十六のおバカさ加減を思うとき、いっそ「もっとまじめに〝侵略”しろ」「もっとまじめに〝騙し撃ち”しろ」と言いたくなります。
日本は戦犯国ニダとほざく侵略民族・反日パヨクその他その他の汚い連中なら、まちがいなく、そういう発想になるでしょう。「侵略」とはそういうものであり、彼らの歴史は卑怯な騙し撃ちのオンパレードですから。

裏を返せば、まともな「騙し撃ち」も敵地の「占領」すら実行しなかったというそのこと自体が、ハワイ作戦が「侵略」の名に値しない、何よりの証拠とも言えるかもしれません。
それは倫理的には日本の名誉ですが……
残念ながら、軍事的には害務省や海軍の(というか五十六の)無能の証明でもあるのでしょう。

「徳の高いバカ」と「有能な悪人」の、どちらが人間として価値があるかは別にして、どちらが喧嘩に勝つかは言うまでもないでしょう。

さて。

五十六の無能さは動画で言われているとおりですが……
その五十六が、なぜ戦後長らく美化されつづけてきたのか?
彼を軍神として祭り上げることは、戦時中には、日本自身にとってもそれなりに意味があったかもしれません。
しかし、戦後になってなお大衆娯楽の世界で、この愚将がもてはやされつづけたのはなぜでしょうか?

この動画シリーズでは前回あたりから「阿川史観」の害毒が指摘されていますが、阿川父子が同時に米国礼賛者でもあることは忘れずに押さえておくべきことのように思います(阿川尚之「海の友情―米国海軍と海上自衛隊 (中公新書)」などは、まあ、感動的な読み物ではあります)。
戦後の反日捏造自虐史観は、ソ連をはじめとする敵国とその手先どもにとって都合のいい妄想ですが、その敵国に踊らされ、愚劣な復讐裁判によってその捏造に権威を与えたのは、米国でもあります。
米国が失敗を悟って「逆コース」を走り出す以前に、すでに、米国は自らの手であらかたの歴史捏造を創作し終えてしまっていました。
その捏造と妄想を維持したまま(日本を悪者にしたまま)、日米同盟を堅持するには、どうすればいいか?
この命題に応えるためのあらたな歴史捏造が必要とされたとしても、驚くにはあたらないように思いますし、その捏造のためには、五十六には「名将」でいてもらわなければ困る、という要請があったとしても、不思議ではないように思います。

ハワイ作戦は、あくまでも「戦術」的には、日本の勝利でした。
偉大なる自由の祖国が、バクチ狂いの愚か者にしてやられた、などと、当時の米国として認めるわけにはいかなかったでしょうし、「ルーズヴェルトは知っていた」という当時から根強くある疑惑をゴマカス必要もあったでしょう。
前回も述べた通り、歴史の真実の追及は「学問」ですが、ファンタジーの創作は「娯楽産業」です。
阿川弘之「山本五十六」も脚本の参考にされ、「悲劇の名将」としての五十六像を銀幕上に捏造した日米合作「娯楽」映画「トラ・トラ・トラ!」が、日米安全保障条約自動延長&反日左翼暴動の起きた1970年に公開されたことは、よくできた「偶然」ではないでしょうか。
(あの映画は日本に好意的~だの「公平」な描写だのと見当違いな評価を下されていますが、米国を「善良な間抜け」として描くことで、真珠湾の真実を二重三重に隠蔽することこそが眼目ではないでしょうか。そうして得をするのは、日米を「砕氷船」として利用した連中です。米国に都合の良い嘘は、日米共通の敵にとっても都合の良い嘘である、という……これが戦後日米関係の「ねじれ」の根源であるように感じられます)
みんなで学ぼう日本の軍閥
日本の軍閥 [ 倉山満 ]
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