2016年06月20日

【動画】「みんなで学ぼう!日本の軍閥」第3話寺内正毅~ビリケン宰相の実像~


チャンネルくららから「みんなで学ぼう!日本の軍閥」第三回。



動画でも言われているとおり印象の薄い人物ですが、この時代自体はとても重要。
シベリア出兵が起きている、ということは……
つまり第一次大戦中。ロシア革命が起きてソ連誕生。人類の悪夢が始まっているわけですから。
こちらでも書きましたが、大正時代というのは反日勢力に都合の悪い出来事のオンパレード。ゆえに隠蔽・歪曲・捏造されている面がありはしないでしょうか。

動画で登場した原敬は「我田引」で有名な利権政治屋ですが。日記を残しているために、一次資料として重宝され、原に一方的に都合のいい話がまかり通っているような気がしないでもありません。
大正の后(きさき)」「大正天皇 (朝日文庫)」などは、参考文献として原日記に大いに依存する一方、その政敵であり、第一次大戦参戦時の首相でもある大隈重信関連の史料はほとんど無視されているようです。

そもそもシベリア出兵自体、何のためにやったのだか、わかりにくい出来事です。
動画では原がアメポチだったとだけ言われていますが、そもそも米国がシベリアくんだりまで何しにきやがった?というのがこの動画ではすっぽり抜けています。
シベリア出兵というのは、こちらで読んだ鈴木荘一「日本征服を狙ったアメリカの「オレンジ計画」と大正天皇―東京裁判史観からの脱却を、今こそ!」によれば、山縣有朋のアジア主義妄想の産物であり、欧米の不信を買った悪手だと非難されていますが、一方、平間洋一「日露戦争が変えた世界史―「サムライ」日本の一世紀」によれば、ソ連の脅威にいち早く気づいていた日本が緩衝地帯を作ろうとしたのを、ソ連と仲良くできると勘違いした愚かな米国が妨害した、ということになるようで……一般読者としては判断に困ります。

というか、この当時の日本の同盟国は英国だったはずですが。
動画に英国がろくに登場しないのは謎ですし、倉山氏の大好きな石井菊次郎の名前が登場しないのも物足りないですね……

シベリア出兵の是非は置いておいて、客観的な背景情報だけをおさらいしておくと、もともと、第一次大戦開戦当時は四国協商の時代。ロシアはドイツ包囲網の一角であり、日英の友邦でした。そのロシアで二段階カクメイが起こり、ロシア(ソ連)が裏切ってドイツと手を組んだため、ドイツは西部戦線に兵力を集中できることになり、英仏を慌てさせました。そこで、英国がソ連の背後を攪乱してくれと日本に頼んできた……というのが、シベリア出兵の起こりだったのではないか、と。
そして、このことあるを明確に「予測」までしていたわけではないでしょうが、早い段階から「懸念」していた外交家が、石井菊次郎だったそうです。倉山氏曰く「我らが菊ちゃん」ですね。
石井は「もしロシアが裏切ったらどうする?」ということをロシア革命のはるか以前に英国と相談しようとしますが、当時は英国側が抜け作だったため、油断しまくりで、はかばかしい議論にもならなかったとか。また、石井は山縣にも東部戦線への陸軍派遣を訴え続けますが、実現しなかった(そしてロシアの苦戦がロシア国内の政情不安を助長、革命の素地を作った)などという話もあるようです。(「嘘だらけの日英近現代史 (扶桑社新書)」など参照)。

歴史に「たられば」はないと言いますが……
動画の時代は、同時に石井菊次郎の時代でもあり……倉山氏にいわせればそれはつまり「正論が通じなくなる時代」が、いよいよ始まっていたということにもなるようです。
その論評が妥当はどうかはさておき、というか、その論評が妥当がどうかを判断できるようになるためにも、もっと注目されるべき時代ではないでしょうか。
みんなで学ぼう日本の軍閥
日本の軍閥 [ 倉山満 ]

嘘だらけの日英近現代史 (扶桑社新書)
日露戦争が変えた世界史―「サムライ」日本の一世紀
日本征服を狙ったアメリカの「オレンジ計画」と大正天皇―東京裁判史観からの脱却を、今こそ!
外交随想 (呉PASS復刻選書14)
外交余録 (呉PASS復刻選書15)