2016年05月29日

【DVD】昭和天皇地方御巡幸 ( 上 )


DVDを買ったので紹介しておきます。
昭和天皇地方御巡幸 ( 上 ) 昭和天皇 香淳皇后 KCWD-8104 [DVD]
とりあえず今回は上巻。

昭和天皇の全国御巡幸については今さら言うまでもないでしょう。
敗戦の痛手から立ち直ろうとする国民を親しく激励してお巡りになり、国民もこれを熱狂的に奉迎申し上げたといいいます。
そのすさまじさは、当初タカをくくっていたGHQの共産主義者共が腰を抜かし、昭和23年には慌てて妨害に乗り出すほどでした。

東京裁判の裁判長ウェッブをして、後年(昭和44年)、児島襄のインタビューに答えて、
「神だ。あれだけの試練を受けても帝位を維持しているのは、神でなければできぬ。そうじゃないか」
と言わざるをえなかった昭和聖帝のお姿が、そこにはありました。

巡幸の様子については鈴木正男「昭和天皇の御巡幸」や「昭和天皇巡幸―戦後の復興と共に歩まれた軌跡」などを読んだこともありますし、多少の写真も目にしたことはあります。
が、当時の映像となると、youtube等にUPされている断片的なものしか目にする機会がありませんでした。

そもそも昭和天皇を特集した映像作品自体、VHS時代にはいくつかあったようですが、DVD化はされていないようです。
皇室の20世紀」などに一部昭和の御代を振り返る内容のものもあるようですが、定期刊行物の体裁ですから、入手は徐々に困難になっていくでしょう。また、宮内庁製作の映像作品については菊葉文化協会での頒布という形で、一般書店等には流通していませんし、今上の御代の映像が中心で、昭和の御代の映像はほとんど頒布されていないようでもあります。

長々と何が言いたいかといえば、昭和天皇の御巡幸に関する当時の記録映画が、一部ではあれこうして一般流通形式でソフト化されたことは、貴重であると思うわけです。
2014年に発売されたDVDなので入手は比較的容易でしょう。Amazonはもちろん、楽天にもいくつか出品しているストアがあるようです。
「昭和天皇 巡幸」の楽天内検索
ただし楽天ブックスでは取扱がないようです。「さすが」と言うべきでしょうか。

上巻の収録内容は、
1. 昭和天皇地方御巡幸 1 「国民の中の天皇」 昭和26年 ( 約24分 )

2. 昭和天皇地方御巡幸 2 「香川県行幸」昭和25年 ( 約18分 )

3. 「土佐路の春」昭和25年 ( 約16分 )

4. 昭和天皇地方御巡幸 3 「湖国巡幸」昭和26年 ( 約26分 )
の4本。
いずれもTV放送開始(昭和28年)以前、日映製作の記録映画かと思います(昭和26年は、東宝の出資を受けて改組された年でもあるようですので、出典について正確を期そうとするとややこしいことになりそうですが)。

このうち、1の「国民の中の天皇」は、最もイデオロギー色の強い不自然な内容になっています。
「人間天皇」を強調した内容で、あたかも戦中戦後で天皇の御存在の本質が「変化」したかのような虚偽を印象付けるプロパガンダになっています。
極左売国奴・宮澤俊義がしたり顔でインタビューを受けているシークエンスがあるだけで語るに落ちていますし、その他、マスゴミお得意のインチキくさい「雑音皆無街頭インタビュー」なども収録されています。駅前の映像などもあったように思いますが、当時の日本の街頭というのは物凄く静かだったのでしょうね(棒
よしんばインタビュー自体が本物だったとしても、回答の選別は当然しているはずでしょう。道行く「一般市民」が無暗に流暢に「関係ない」「興味ない」と語りつづける昭和26年の映像は、つい1年前の四国行幸や同年の滋賀行幸の映像と見比べると、違和感しかありません。
「閉ざされた言論空間」の実例を見る思いがしました。
ただし、有名な常磐炭鉱?の映像や、ごく一部に玉音も収録されているので、そういう意味では、価値がある面もありました。

2、3は四国行幸、4は滋賀県行幸の記録映画で、1に比べれば、異常さの少ない「記録」になっていると思います。

2と3の映画には、音声としてはBGMとナレーションがあるだけで、現場の音は一切収録されていませんが、4の滋賀県行幸の映画には、奉迎する国民の歓声や、一ヵ所だけ陛下の玉音も(何を仰せになっているのかまでは聞き取れませんが)収録されており、臨場感は上です。
また、前2者と後者を見比べると、わずか1年で画質が格段に向上しているように感じます。それだけ、質の良いフィルムが入手できるようになったということでしょうか? だとしたら、映像それ自体が復興の歩みを物語っているのかもしれません。

さまざまな伝説的なエピソードに彩られた昭和天皇の全国御巡幸。
そこに深く切り込むというほどの内容ではありませんし、撮影時期もGHQの方針転換後。巡幸初期ほどの本当の本当に危機的だった状況は、すでに過ぎていたかもしれません(少なくとも映画を撮って公開するだけの余裕はあったわけです)。
しかし、在りし日の昭和天皇のお姿と、日の丸を振り万歳を叫んで奉迎する国民の姿を、あらためて目にすることのできる映像には、やはり、歴史的な価値があるといえるでしょう。

当時はこちらの冒頭で引用したような、日の丸を赤旗に持ちかえた群衆の時代でもあったのでしょう。
御巡幸時の有名なエピソードには、昭和天皇に面と向かって文句を言ってやろうと待ち受けていた共産主義者でさえ、いざ陛下のお姿を目にすると、感涙し、日の丸を振らずにいられなかったとか、行幸のときだけはストも「休戦」した、などというものもあります。
自称愛国保守お気に入りのエピソードですが……
それらを読むたび、聞くたびに、私はいつも思うのです。
当時のサヨクでさえ、「天皇」という御存在に対して、そういう「感性」「感覚」「生理」を失ってはいなかった、というのが本当だとして……では、戦後の私たちは、それら当時のアカたち以上に、日本人としての正しい感性を、持ちえているだろうか、と。
私ごとき有象無象は、もちろん、陛下に拝謁を賜るどころか、生のお姿を遠くから拝したことさえありませんが……もしもそのような機会に巡り合えたとして、そのとき、多くの自称正しい日本人たちが熱く語るほどの感激や特別な何かを、私自身は本当に感じることができるだろうか、と……正直、少し怖いのです。
当ブログのタイトルは「日本のこころを探して」ですが、それはつまり、探さなければならないほどに、それを見失っている自覚がある、ということでもあるのですから。

このDVDに収録された、昭和天皇と国民の姿。
その映像を、当時の国民と同じ感激を以て見ることができるか、あるいは、ウェッブのような「驚き」を以てしか見ることができないか。
あらためて自分に問いかけてみたくなりました。

なお、2~3に収録されていた、香川、高知、滋賀行幸のさいの御製としては、
 昭和25年 香川県大島療養所
あなかなし病忘れて旗をふる人のこころのいかにと思へば
舩ばたに立ちて島をば見つつおもふ病やしなふ人のいかにと

 昭和25年 高知県室戸
室戸なるひと夜の宿のたましだをうつくしと見つ岩間岩間に
うつぼしだのこるもさびし波風のあらき室戸の磯山のへに
室戸岬うみべのをかに青桐のはやしの枯木たちならびたる

 昭和26年 滋賀県
谷かげにのこるもみぢ葉うつくしも虹鱒をどる醒井のさと
をさなき日あつめしからになつかしも信楽焼の狸を見れば
 ヤンマーディーゼル分工場
うるはしく職場たもちて山すその永原村はすくはれにけり
などが知られているようです(鈴木正男「昭和天皇のおほみうた―御製に仰ぐご生涯」)。
映像と見比べることで、御詠の背景も理解しやすくなるのではないでしょうか。

「聞こしめす」「見そなわす」「しろしめす」などの言葉が示す通り、古来、天皇による「統治」とは、国土・国民の姿を見、聞き、知ること、そのものでした。
天皇が国の姿を見聞きする、そのこと自体、「国見」という神聖な行為でもありました。
そしてそれら「国見」を歌に詠むことは、言霊による鎮魂や祝福(予祝)の意味を持っていたと言います。
否、「いた」という過去形は不適切でしょう。こちらで述べたように、和歌の伝統は皇室に今も連綿と受け継がれつづけているのですし、今上の両陛下も全国を(時には海外までも)くまなく御巡幸になり、「国見」をつづけてくださっているのですから……天皇の御存在とその言霊は、今も、これからも、この国を祝福しつづけてくださっているのに違いありません。

かつて御所からお出ましになることもままならなかった徳川の世が終わり、全国御巡幸の端緒をお開きになったのは明治天皇でした。大正天皇は皇太子時代からそれを御引継ぎになり、「逆賊」会津へもお運びになっています。
未曾有の敗戦に際して、あらためて全国御巡幸を志された昭和天皇が、それら父祖の大御心を意識されていなかったはずはないと思えますし、また、その大御心は今上陛下にも確実に受け継がれているに違いないのではないでしょうか。

どうも話が取り留めなくなってきたようなので、そろそろ稿を終えますが……
日本人なら、一家に一枚、常備しておきたい、少なくとも一度は見ておきたい映像集だったように思います。
昭和天皇地方御巡幸 ( 上 ) 昭和天皇 香淳皇后 KCWD-8104 [DVD]
昭和天皇地方御巡幸 ( 下 ) 昭和天皇 香淳皇后 KCWD-8105 [DVD]
昭和天皇の御巡幸
写真集 昭和天皇巡幸 ---昭和二十一年〜二十九年
昭和天皇の全国巡幸 昭和21年~29年 (第1巻) 全国編
昭和天皇巡幸―戦後の復興と共に歩まれた軌跡
天皇御巡幸―日本復興の足どり
ラベル:天皇 昭和天皇
posted by 蘇芳 at 01:56| 昭和 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする