小泉政権当時の皇室典範改悪=皇統断絶の企ては、秋篠宮家の悠仁親王殿下御誕生によってとりあえずは阻止されました。
しかし、宮澤俊義らによって反日の毒を仕込まれた現皇室典範自体にも大きな問題がありますし、天皇・皇室に対する陰湿な攻撃は手を変え品を変えくりかえされています。
こちらやこちら、またこちらで考察した通り、詭弁をもって善良な人々を欺き、人々の「理想」を、彼らの醜い「欲望」の道具として悪用する、一種の詐欺行為こそ、反日の常套手段です。
彼らの詐欺に騙されないためにも、国民が皇位継承の原理について理解を深めておくことは必要であると思われます。
男系・女系の是非を論じる前に、そもそも「男系」「女系」とは何を意味するのか、短い動画を見ておこうと思います。
「男系」の血筋、「女系」の血筋は、共に、つねに「一系」である、というところに、まずは注意しておきましょう。
事の是非ではなく、事実において「男系」の血筋によって継承せられてきた皇統もまた、事実において「万世一系」です。
このような「一系」を一貫して保ちつづけてきた王室は、世界広しといえど、皇室の他にありません。
日本はそもそも現存する最古の王朝ですが、世界最長の歴史に加えて、125代におよぶ一系の血統もまた、世界に冠たる伝統です。
天皇とは、譬えるなら「アガメムノンの男系の子孫が現代まで途絶えることなく帝位にありつづけている」ようなものだと説明すれば、一定水準以上の教養を持つ欧米人は、皆、畏敬の念に打たれるでしょう。
こちらで見た通り、「保守」すべきものが「伝統」に他ならないのだとすれば、心ある日本人が何よりもまず「保守」し「護持」しなければならないのは、この皇室の「伝統」であり、そして、それゆえにこそ、反日勢力はこの「一系」の血統という伝統を破壊すべく執念を燃やすのだ、と、まずは理解しておくべきではないでしょうか。
「男系」とは、父親の父親の父親の、と、常に父親のみをさかのぼることによって定義される血統であり、事実において、皇室はこの「男系」に基づく皇位継承を伝統としています。
ここで注意しておくべきことは、当然、父親を同じくする兄弟は、男系継承においては、基本的に、同等の資格を有する、ということです。
皇室の歴史において、兄弟間の皇位継承の例は枚挙に暇がありません。
こちらで挙げた敏達天皇につづいて践祚された用明天皇、崇峻天皇も御兄弟ですし、有名な天智天皇、天武天皇も御兄弟です。
また、こちらで軽く触れたとおり、称徳天皇の御代に天武天皇の男系の皇位継承者が事実上途絶えてしまったとき、皇位を継承された光仁天皇は天智天皇の孫にあたらせられ、皇統は「天武系」から「天智系」に戻った、という言い方もできなくはありません。
すなわち、「男系」の「血統」を重んじる皇位継承の原理においては、皇位継承者は、神武天皇の男系の子孫であれば、先帝の「直系」である必要はないことになり、これが、「直系」を重んじる武家の相続制度とは、大きく異なる点です。
第22代清寧天皇→第23代顕宗天皇、
第25代武烈天皇→第26代継体天皇、
などなど、「傍系」の血筋に皇位が継承された例は、いくつもあります。
他でもない、今上天皇の直系の御先祖にあたらせられる第119代光格天皇も、先帝・後桃園天皇の皇子ではありません。
光格天皇の御即位以前のお名前を、閑院宮師仁親王と申し上げ、第113代東山天皇の御代に創設された世襲宮家=閑院宮家からの御即位でした。
したがって、「傍系の宮家(ex「旧」皇族)」から天皇を出すことを否定することは、実は、直ちに、今上、昭和、大正、明治、孝明、仁孝、光格、全7代の天皇すべての正統性をも否定するに等しい、ことになってしまいます。
(「傍系の宮家」からの即位が「ありえない」と主張するのなら、当然、「閑院宮家」からの即位も「ありえない」と言わなければならないはずですから)。
「男系」でさえあれば、「傍系」であっても、何ら差支えが無い。
中川八洋に言わせれば「支系の統合」こそが、皇位継承の原理です。
これは、過去において実際に実践されてきた歴史的「事実」を成文化したまでのことで、否定するも肯定するもありません。「事実」を尊重するか否か、それが問題であり、そして歴史的事実としての伝統を尊重せず踏みにじる輩を「保守」と呼ぶことはできません。
少々先走って「歴史的事実」に深入りしすぎたようです。
話を血統という「科学的事実」に戻しましょう。
現代においては、「男系」の血統も、「女系」の血統も、単なる系図上の観念ではなく、遺伝子によって、科学的に跡付けることができます。
なんとなれば、父親からしか遺伝しない遺伝子、母親からしか遺伝しない遺伝子、というものが、それぞれ実在していることが、現在は知られているからです。
父親からしか遺伝しない(しかも男性しか持っていない)、y染色体のDNA、
母親からしか遺伝しない、細胞内小器官・ミトコンドリアのDNA、
が、それです。
y染色体のルーツをたどって遡っていけば、男系の血統を定義することになり、ミトコンドリアのルーツをたどって遡っていけば、女系の血統を定義することになります。
y染色体を持つのはそもそも男性だけですから、そのルーツは当然、皇族の父親のみを「つねに」さかのぼっていくことになり、皇族の父親は当然皇族であり、時に天皇であることもあるでしょう。
一方、皇族の母親は、常に皇族であるとはかぎりませんし、嫁入り婚が多い社会においては、多くの場合、他家の女性にならざるをえません(これは善悪だのフェミニズムだのとは関係のない単なる「事実」です)。
皇太子殿下や秋篠宮殿下の母君は皇后陛下ですが、その皇后陛下の母君は正田富美子さまであり、富美子さまの母君は、副島「あや」又は「けふ」さんということになるのでしょう。
皇室→正田家→副島家、と、複数の家系を横断していく「女系」の血統が、皇位継承と、何のかかわりがあるでしょうか?
皇統の歴史を「女系」によって定義づけることなど、そもそも不可能であり、過去の歴史・伝統においてそうである以上、将来においても、許されない、というのが、「伝統保守」の立場たらざるをえません。
したがって、あからさまに皇統断絶を目論む勢力は初めから論外ですが、こともあろうに女系天皇によって皇室の「伝統」を守ることができるという一部の「自称」保守の主張もまた、完全な論理矛盾であり、デマにすぎないことになります。
似非保守たちがその「嘘」を以て、何を目論んでいるのか、何のためにその「嘘」をついているのか、国民はしっかりと認識しておく必要があると思います。
女系天皇・男系天皇の論争は、すなわち伝統保守か伝統破壊かの二者択一であって、もしも誰かが伝統を破壊することこそ正しいと衷心から信じるのなら、正々堂々とそれを主張すべきでしょう。
伝統を破壊したい底意を隠して、デマを以て国民を欺こうとする似非保守の手口は、端的に卑怯であり、詐欺であり、議論以前に問題外です。
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