2016年01月15日

【動画】「日本のこころ」 産霊 (むすひ)


神道にはいろいろな要素が含まれています。
祖霊崇拝がありますし、首長崇拝もあれば、御霊思想なども習合しました。
しかし、やはり、何といっても根底にあるのは自然崇拝ではないでしょうか。

もちろん、恵みをもたらすだけでなく、自然には破壊的な面もありますが。。。
神道ではそうした自然の破壊的な面も排除せず、鎮めようとしてかえって祀ったりもしますし、一見破壊的な面も、創造的な面と表裏一体であると解釈したり……するのではないでしょうか。
ある種の神々のように、その「死」が穀物の起源とされたりということも、あるようです。

古代の日本人が「自然」のなかにまず認めた神秘性とは、そうした「産み出す」というはたらきだったのかもしれません。



動画概要:
2013/04/14 に公開
自然に抱かれ生きた日本人は、万物を産む霊妙な力を感じ、神の力として尊びました。

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万物を産み出す産霊の力を尊び、逞しく生きてきた日本人

冬、凍えた大地は、春になると新たな生命を芽吹かせます。
大自然の営みを見つめ、その懐に抱かれ生きていた日本人は、万物を産み出す働きに大い­なる力を感じ、それを神の力として尊びました。
日本の神話によると、天地(あめつち)が開かれた時、天之御中主神(あめのみなかぬし­のかみ)、高御産巣日神(たかみむすひのかみ)、神産巣日神(かみむすひのかみ)の三­柱の神があらわれ、その働きによってよろずのものが産まれたとされています。この三神­をはじめとする天つ神から「この漂える国をつくり固め成せ」と命じられた伊邪那岐命(­いざなぎのみこと)・伊邪那美命(いざなみのみこと)の二神は、大八島(おおやしま)­と六つの島々を産み、さらに海・川・風・山・木・野・火など森羅万象の神々を産みまし­た。
人々は、神々、国土、自然、生命あるすべての存在を、万物を産む産霊(ムスヒ。産巣日­とも書く)の力によって産み出されたと考えていたのです。いただいた命だからこそ、生­命力を湧き上がらせ、人々は力強く生きてきたのかもしれません。

「平成25年秋 第62回 伊勢神宮式年遷宮」
http://www.sengu.info/

Present by 伊勢神宮 式年遷宮広報本部(制作2013年3月)

最初にGODがいて、世界を「創造」したのではなく、
最初に世界があって、神々が「出現」した、
というのが、記紀の物語です。
この「出現」には「なる(生る? 成る?)」という、植物の生成を思わせるような言葉も使われていたかもしれません。

やがて、伊邪那岐・伊邪那美の二柱によって「国産み」が行われますが、これも「産み」という、文字通り生殖行為による「出産」であって、聖書の「創造」とは根本的に違っています。
「クリエイト(Create)」
ではなく、
「バース(birth)」
当然、産み出された島も木も水も火も、動物も人間(※伊邪那岐・伊邪那美は皇室の祖先神)も、理屈ではなく直接的に、神々と血縁関係を持っていることになります。
「創造」された「作品」ではなく、
「出産」された「子供」「子孫」。
キリスト教で「神の子」といえばかなり特別な意味を持ちますが、日本においてはすべての人間を「神々の子孫」と観念してきたのではないでしょうか。

生殖や出産というわかりやすい生物学的比喩で世界を把握することは、単に「原始的」で「劣った」思想でしょうか?
私にはそうは思えません。

「万物を産む産霊」

そこには大切な「日本のこころ」があるように思います。


追記:
天地初発において最初に出現した神々は、最初に天御中主神、つづいて高皇産霊神・神皇産霊神。
この三柱をあわせて「造化三神」とも言うようです。
具体的に何をするということもなくすぐに姿を隠す神々で、人格を持ったキャラクターというよりは、自然の産出力を神格化した概念的な存在のようですが……高皇産霊神・神皇産霊神の二柱については、記紀において、その「子孫」が登場して活躍することがしばしばあります。
高皇産霊神の子といえば天岩戸や天孫降臨にかかわる思金神がいて、皇室との直接の関連があるようですし、神皇産霊神のほうは出雲神話での活躍が印象に残ります。
出雲における神皇産霊神は、大国主命を生き返らせるために使者を派遣してくれたり、大国主命の国造りを手伝った少彦名神が「古事記」においては神皇産霊神の子とされていたり、と、かなり擬人化されているようにも思います。
いずれにせよ、「産霊」の名を持つ神が、死者の再生と国の建設、その両方にかかわっているというのも、よくできた話ではないでしょうか。
思金神が関係する天岩戸も、太陽神≒生命活動の再開・再生の物語ともいえそうですし、天孫降臨は地上に稲をもたらし、国家建設の起源でもあるわけですから……「産霊」は何かが「生まれる・始まる」ときには、必ず、作用しているものなのかもしれませんね。
posted by 蘇芳 at 01:56|  L 「日本のこころ」 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする